「回遊動線、やめとけ」って本音？ 共働きを救う時短間取りの裏ワザ大公開

山本さん、仕事でのあなたはもっと厳しいコスト意識と交渉力を持っているはずです。その「現場感覚」を家づくりにも持ち込みましょう。妥協せずに予算内に収める方法は、あなたのビジネススキルの中にあります。

こんにちは！ 私は現在40代のサラリーマン管理職。3年前に注文住宅を建て、同時に不動産賃貸業も営んでいます。

家づくりを始めた当初、ハウスメーカーの提示額は予算を大幅に超えていました。でも、そこで諦めなかった。本業の「営業・プロジェクト管理」で培ったスキルを、家づくりに転用したんです。結果的に当初の見積もりから約400万円のコストダウンに成功しながら、性能やデザインのこだわりはしっかりキープした「高コスパ住宅」を完成させました。

このブログでは、私が身につけた「知恵と工夫＝予算内での理想の実現」という考え方と、具体的な戦術を、あなたの職場の先輩として、論理的かつ親身な口調でお伝えしていきます。今回は特に、多くの方が悩む「家事動線」について。流行の回遊動線に潜む落とし穴と、賢く「選択と集中」することで、予算内で理想を叶える方法を解説しますね。

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流行の「回遊動線」って、本当に必要？

雑誌やSNSを見ていると、「回遊動線のある家」ってよく見かけますよね。「行き止まりがないから便利！」「家事ラク！」なんて言葉が並んでいて、つい取り入れたくなります。でも、ちょっと待ってください。その「流行」に、本当にあなたの暮らしはフィットしますか？

WHY-1: 流行に流されると、なぜ失敗するのか？

結論から言うと、「流行」は「万人に最適」ではないからです。

まるでビジネスにおける新規事業の企画会議と同じです。競合がやっているから、トレンドだから、という理由だけで戦略を立てても、自社のリソースや顧客のニーズに合致していなければ、投資対効果は上がりませんよね。

回遊動線も同じで、あなたの家族構成、家事ルーティン、生活スタイル、そして最も重要な「住宅の広さ」や「予算」を深く検討しないまま採用すると、後悔するリスクが高まります。

「本当にその動線が、自分の家事効率や生活スタイルに合致しているか？」ここをしっかり問いかける必要があります。

WHY-2: 無駄な通路が「居住空間」を圧迫する理由

住宅の面積は限られています。特に都市部の土地価格を考えれば、1坪、いや1畳の価値も非常に高い。通路は「居住空間」ではありません。移動のためのスペースであり、そこに長時間滞在することはないですよね。

無駄な通路は、以下のような問題を引き起こします。

• 有効面積の減少： リビングや寝室など、実際にくつろぐ、生活する空間が狭くなります。
• 建築コストの増大： 通路も壁や床、天井で構成されるため、面積が増えれば当然コストも増えます。
• 冷暖房効率の低下： 空間が広がることで、冷暖房が行き渡りにくくなり、光熱費が増える可能性があります。
• 掃除の手間： 通路もホコリがたまる場所。無駄なスペースは、無駄な掃除を生みます。

ビジネスで言えば、「使わない倉庫の維持コスト」や「無駄な移動時間による生産性の低下」に例えられます。その通路は本当に、居住空間としての価値を提供していますか？

WHY-3: ドアが増えると「コストアップ」と「使いにくさ」が加速する

これも盲点になりがちですが、ドアや建具が増えることは、想像以上にコストに直結します。

• 材料費と施工費： ドア一枚一枚にコストがかかります。デザイン性の高いものを選べばさらに高額に。
• メンテナンス費用： ドアは日々開閉されるため、蝶番の調整や、将来的な交換費用も考慮する必要があります。
• デッドスペースの発生： 開き戸の場合、開閉に必要なスペースが、そのエリアを「使えない空間」にしてしまいます。

「空間を細かく区切る」という発想は、一見プライバシーを守るように見えますが、本当にそこまで仕切りが必要でしょうか？ 開放的な空間にする、あるいは必要な時だけ仕切れる工夫はないでしょうか？

ビジネスの会議室で、不要なパーテーションで仕切ることで、かえって動線が悪くなったり、圧迫感が出たりするのと同じです。本当にその空間は、個別のドアで区切る必要性があるのか、顧客（＝家族）視点で再検討してみましょう。

「選択と集中」が家事ラクの秘訣！ サラリーマン的「報連相」と「コスト精査」の応用術

健一さん、仕事で新しいプロジェクトを立ち上げる時、あなたはまず何をしますか？

おそらく、「プロジェクトの目的」と「優先順位」を明確にし、限られた予算と人員の中で「どこにリソースを集中するか」を考えるはずです。

家づくり、特に家事動線の設計も全く同じです。

So What: ライフスタイルに最適化された間取りこそが、最高の快適

流行に盲目的に従うのではなく、個々のライフスタイルや価値観に最適化された間取りこそが、長期的な満足度と生活の質を向上させます。

無駄な空間や設備は、初期投資だけでなく、日々の維持管理コスト、掃除の手間、そして何よりも住む人の「時間」や「心のゆとり」を奪う可能性があるんですよ。

コンパクトで高効率な間取りは、単なる省スペース化に留まらず、家族のコミュニケーションの質を高めたり、本当に大切な趣味や休息の時間を作り出すなど、豊かな暮らしの基盤となり得るんです。

住宅設計は、単なる箱作りではなく、住む人の「時間の使い方」や「ストレス」をデザインする行為。特に家事動線は日常の反復作業ですから、その最適化は生活全体の満足度に直結します。

HOW-1: あなたの「家事ルーティン」を可視化する

まずは、あなたの家庭で最も頻繁に行われ、複数の場所を移動する必要がある家事を特定しましょう。多くの場合、それは「洗濯」に関わる一連の動作です。

STEP1: 家事の「要件定義」をする

• 洗濯物を「どこで脱ぐ」のか（脱衣室、各寝室？）
• 「どこに溜める」のか（洗濯カゴはどこに置く？）
• 「どこで洗う」のか（洗濯機はどこに置く？）
• 「どこで干す」のか（室内干し、ベランダ、乾燥機？）
• 「どこで畳む/アイロンがけする」のか（リビング、ランドリールーム？）
• 「どこにしまう」のか（ファミリークローゼット、各部屋のクローゼット？）

これらの動きを具体的に書き出し、時間と移動距離を計測してみましょう。まるで業務フローを作成するように、どこに無駄があるかを明確にするんです。これこそが、設計士への「報連相」の第一歩になります。

STEP2: 多機能空間で動線を「コストダウン」する 私たちが家づくりで特にこだわったのは、「脱衣室 兼 ランドリールーム 兼 ファミリークローゼット」という多機能空間でした。

• 脱衣室で脱いだ服を、そのまま洗濯機へ。
• 洗った服を、その場で室内干し、または乾燥機へ。
• 乾いた服を、その場で畳んで、隣接するファミリークローゼットへ。

これなら、洗濯カゴを持って家の中をウロウロしたり、リビングで山になった洗濯物を畳んだりする手間が一切なくなります。移動距離は最小限、労力も最小限。まるで工場のライン作業のように効率化されます。

さらに、この空間を来客時だけ使えるように、引き戸で仕切れば、普段は開放的に、必要に応じてプライバシーも確保できます。

STEP3: 収納計画を「工程管理」する 収納は、洗濯物をしまう場所からの距離を考慮して計画します。

例えば、

• 日常着： ファミリークローゼットに集約し、ランドリールームから直結。
• 来客用・季節物： 各部屋のクローゼットや、2階のホール収納など。

「どこに何をしまうか」を事前に決めておくことで、無駄な収納スペースを減らし、必要な場所に集中できます。これも立派な「コスト精査」です。

HOW-2: 設計士との「定例ミーティング」で理想を形にする

「素人だからプロの言うことは絶対」と思いがちですが、健一さん、あなたはビジネスの現場で「丸投げ」でプロジェクトを成功させたことがありますか？ ないですよね。

設計士さんはプロですが、あなたの生活の「プロ」ではありません。あなたの家事ルーティン、家族の生活スタイル、そして何より「予算」という最大の制約を、具体的に、そして論理的に伝える必要があります。

STEP1: 具体的な要望を「要件定義」として伝える

• 「回遊動線は『洗濯→干す→しまう』の一連の作業に限定したいです。」
• 「通路面積を最小限にし、リビングや個室の広さを優先したい。」
• 「ドアを減らしてコストを抑えたいので、引き戸やオープンな間仕切りを検討したい。」

このように具体的な要望を伝えれば、設計士さんも「なるほど、そういうことですね！」と、あなたの意図を理解しやすくなります。曖昧な要望は、意図しないプランを生み出し、手戻りの原因になりますからね。

STEP2: 建具の工夫で「コストダウン提案」を出す ドアは高い、という話をしましたよね。そこで、私たちは建具の工夫でコストとスペースを両立させました。

• 引き戸や折れ戸： 開き戸と違い、開閉スペースが不要なので、通路の有効幅を確保できます。壁の中に収納される引き込み戸なら、さらにスッキリ。
• ロールスクリーンやカーテン： 来客時など、一時的に仕切りたい場所に。普段は開け放して開放感を演出。
• オープンなアーチ壁や垂れ壁： ドアなしで空間を緩やかに区切り、コストを抑えつつ、おしゃれな雰囲気も作れます。

これらは、設計士さんから提示されるプランに対して、「ここはもっとコストダウンできないか？」というVE（Value Engineering）案として積極的に提案する価値があります。

STEP3: 造作家具で「作業効率」を最大化 洗濯機の上に、乾燥後のアイロンがけや洗濯物を畳む作業ができるカウンターを設ける。これだけで、リビングに洗濯物が散らかることがなくなり、作業効率が格段に上がります。

造作家具は一見コストがかかるように見えますが、市販の家具を買い足す手間や、デッドスペースの発生を考えれば、実は長い目で見て「高コスパ」なんです。

HOW-3: 将来を見据えた「顧客視点（＝家族視点）」の長期戦略

家づくりは一生に一度の買い物。今の快適さだけでなく、将来のライフスタイルの変化にも対応できる「可変性」も重要です。

• 可変性のある間取り： 子供の成長に合わせて部屋の仕切り方を変えたい、将来的に親と同居するかもしれない…そんな可能性を考慮し、間仕切り壁を撤去しやすい構造にする、収納家具を可動式にするなどの工夫も、設計士と話し合っておきましょう。
• 光と風の動線： 洗濯物を干す場所への採光・通風は非常に重要です。自然の力を活用した乾燥は、電気代の節約にもなります。
• 生涯コストの視点： 効率的な動線は、掃除のしやすさだけでなく、冷暖房効率の向上にも繋がります。これは長期的な住宅維持費用（ランニングコスト）の削減に貢献します。

家事動線は、まるで料理の動線。流行の「多段階レシピ」を闇雲に試すのではなく、自分の食材（広さ、予算）と調理器具（家電）に合わせて、「無駄のない時短レシピ」を編み出すようなものです。必要な工程だけに集中し、最高の味（快適さ）を追求しましょう。

本当に「回遊動線は失敗」なのか？ 逆張りから見えてくる「余白」の価値

ここまで、回遊動線のデメリットや「選択と集中」の重要性をお話ししてきましたが、ここで一度、逆張りの視点も持ってみましょう。ビジネス戦略を練る際にも、常にリスクや反対意見を想定しますよね。

回遊動線がもたらす、意外なメリットとは？

確かに、通路面積が増えることで居住空間が狭くなる可能性はあります。しかし、見方を変えれば、以下のようなメリットも考えられます。

• 開放感と抜け感： 回遊性があることで、空間に広がりが感じられ、視覚的な開放感が生まれることがあります。
• 来客時のプライバシー確保： 例えば、LDKから水回りへの動線と、個室から水回りへの動線が別々にあることで、来客時に家族が気兼ねなく水回りを使える、といったケースもあります。
• 家族の気配を感じやすい： ゆるやかな回遊性があることで、家族がどこにいても気配を感じやすく、コミュニケーションが生まれやすいという声もあります。
• 「余白」としての価値： 効率ばかりを追求しすぎると、空間に遊びがなくなり、息苦しさを感じるかもしれません。時には目的のない通路が、子供の遊び場やギャラリースペース、あるいはちょっとした読書スペースになることもあります。

「無駄」と切り捨てる部分こそ、住まいの「余白」となる可能性も秘めているんです。「Less is More（少ないことは、より豊かなこと）」という建築家の言葉がありますが、これは単なるミニマリズムではなく、本質を追求し、洗練されたものを生み出す思想。余計なものを排除することで、本当に大切なものが際立つという考え方です。

あなたの家族にとって、この「余白」にどのような価値を見出すのか。これもまた、家づくりの「要件定義」として重要な視点です。

私の経験談：サラリーマン×施主×大家の視点から

私が注文住宅を建てる際、最初に提示された見積もりは、理想を詰め込んだ結果、やはり予算を大幅にオーバーしていました。特に、「広々としたLDK」と「家事ラク動線」は譲れないポイントで、ハウスメーカーからは「どちらかを諦めるか、大幅な予算アップしかない」と言われました。

しかし、私はそこで諦めませんでした。本業で培った「限られた予算で最大の成果を出す」という考え方を応用したんです。

• 徹底的なコスト精査（VE案の提示）：
  • 全ての建具をハイグレードから標準品に落とし、必要な箇所だけオプション採用。
  • 不要なドアは撤去し、引き戸やオープンな間仕切りに変更。
  • 外壁材もデザイン性を維持しつつ、コスト効率の良いものを選定。
  • 照明計画も、ダウンライトを最小限にし、ダクトレール照明を多用することで、将来的な変更にも対応しやすくしました。
• 業者とのWin-Winな交渉術：
  • 一方的に「安くしろ」と要求するのではなく、「この仕様なら、どれくらいのコストで可能か？」「代替案はないか？」と具体的に提案を促しました。
  • 複数の業者から見積もりを取り、比較検討することで、適正価格を見極め、ハウスメーカーに改善提案を求めました。
• 将来のメンテナンス費（ランニングコスト）まで計算に入れた素材選び：
  • 初期費用はかかっても、メンテナンスサイクルが長く、長期的に見ればコストメリットのある外壁材や屋根材を選びました。
  • 設備機器も、省エネ性能を重視。目先のコストだけでなく、10年、20年後のランニングコストまで見据えることが重要です。

特に、家事動線については、私がオーナーとして手掛ける不動産賃貸業での経験も活きました。入居者が「この物件は家事しやすい！」と感じる間取りは、やはり無駄がなく、コンパクトにまとまっているんです。洗濯→干す→しまうの動線はもちろん、キッチンからダイニングへの最短距離、玄関から手洗い場へのスムーズな動線など、日々の細かな動きを徹底的にシミュレーションしました。

結果、当初の見積もりから約400万円ものコストダウンに成功。それでいて、開放的なLDKはそのまま、そして「洗濯→干す→しまう」が最短距離で完結する、まさに「高コスパ」で「家事ラク」な家を実現できました。

この経験から言えるのは、「減額＝質の低下」ではないということ。「知恵と工夫＝予算内での理想の実現」なんです。

健一さん、あなたはすでに、ビジネスの現場でそのスキルを日々磨いています。それを家づくりに応用しない手はありません。

まとめ：後悔しない家づくりのために、今日からできること

この記事で伝えたいことは、これだけです。

「家づくりは素人だから」と諦める必要は全くありません。あなたのビジネススキルは、家づくりにおいて最強の武器になります。

「予算オーバーで絶望している」と感じているなら、大丈夫です。あなたの知恵と工夫で、その夢は必ず叶います。